LINE上で女子高生のように会話が出来る人口知能(AI)「りんな」が有名になったマイクロソフト。ユーザーは700万以上に上る。実はりんなの技術はマイクロソフトのアジア部門のR&D拠点である、マイクロソフトリサーチアジアが開発した技術をベースに作られたものだという。マイクロソフトのAI開発の最重要拠点でもある同研究所トップのシャオウェイ・ホン所長に、マイクロソフトのAI開発が目指すものについて聞いた。

シャオウェン・ホン所長シャオウェン・ホン/台湾国立大学卒業、カーネギーメロン大学でコンピュータ・サイエンス博士号取得。1995年にマイクロソフト入社、2007年から現職。インターネット検索、音声、自然言語、システム、ワイヤレス、ネットワーク分野を統括する。
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――マイクロソフトのAI研究の特徴とは。

 マイクロソフトリサーチは、人工知能(AI)をどこよりも長く研究している機関です。発端がビル・ゲイツ氏が1991年に「人間の声と言語を理解、認識して、物体の認識も可能な未来のコンピュータ」を研究するために設立したものだからです。

 多くのデータを多大なコンピューティングパワーで処理したものに対して、AIのアルゴリズムを適用することにより、製品がインテリジェントに動く――。これが現在のAIの仕組みです。つまりAIのA、ビッグデータのB、コンピューティングまたはクラウドのCという要素が、今のプラットフォームには求められることになります。

 ABCが全て揃っている企業はマイクロソフトだけです。AIの研究の長い歴史、ビッグデータについては構造化データ、非構造化データ両方を処理するサービスやデータベース製品を持っています。AIを適用する前処理にあたるデータの格納・転送・マイニングの部分をすべて当社は自前技術で行うことができます。最後のCはわれわれのおはこです。もともとデスクトップPCからスタートし、サーバー、そしてクラウドへ事業の柱を移してきたという実績があります。