業績評価の会社の場合は、営業マンの人事評価は営業成績の結果で評点されます。たまたま前の担当者から引き継いだ顧客企業が業績絶好調になって事業拡大の恩恵を受けた営業マンでも、営業目標以上に営業成績が上がれば高い評価を受けることになります。それで彼が天狗になって、会社の他のルールを守らなかったり、周囲との和を乱していたりしても、とにかく業績を重視するというのが業績評価です。

 業績評価では、逆にどんなに力量が高く、誠実で、かつ同僚に対してきちんとサポートを行ない、周囲に慕われている営業マンであっても、たまたま担当する企業が大不祥事を起こしたことで緊縮財政になったような場合、その煽りを受けて目標よりも営業成績が下がってしまったら、業績評価はマイナスになるということです。

 一方で能力評価ならば、営業マンとしての能力としては前述の後者の例のように、「スキルも人格も人望も高い人材」の方が当然高い評価になるわけです。そして今回のM-1グランプリの番組を観ていると、審査員はこの能力評価に一定の力点を置いていることがわかります。

M-1グランプリの審査には
実は「能力評価」の目線もある

 審査員は全員、「レジェンド級のプロ中のプロ」のお笑い芸人ですから、ネタの面白さだけでなく、なぜ面白いかの技術も見えてしまう。そこを審査コメントとして語ることは、実はこの番組の醍醐味だと私は思っています。

 今回の番組でも、最初に会場が爆笑に包まれた組の審査にあたって、審査員の1人が「上手い。上手いけどそのことが伝わってくるのがマイナスだ」という趣旨の評価を下しました。本当に上手な漫才師なら、その技術を周りに気づかせないものだという趣旨で、点数を少し下げたのです。