生命保険各社がこぞって売り出している「健康増進型」の生命保険。歩いたぶんだけ保険料が安くなる、健康診断書で規定の数値をクリアすると保険料が割り引かれるなど、従来の保険に加入者の健康維持を促すための仕組みが掛け合わさっているのが特徴だ。しかし、前向きなイメージに誘われて安易に加入するのは危険だという。保険コンサルタントの後田亨氏に聞いた。(清談社 島野美穂)
「健康で長生き」願望に
マッチした商品として人気に
住友生命、第一生命、東京海上日動あんしん生命など、大手の保険会社から個性的な健康増進型保険が次々に発売されている。この背景には、日本人の長寿化が関係していると後田亨氏は言う。
「『長生きするなら健康でいたい』という人々の願望を意識した保険だと思います。今までの保険は、“もしものとき”や“万一に備えて”というのが一般的な考え方でしたが、健康増進型保険は、何かあったときだけでなく、日常から支えてくれるようなイメージを持てそうです」(後田氏、以下同)
一方で、こうした新基軸の保険商品を作らなければならなかったのには、「新規契約の動向が思わしくないことも一因としてあるのではないか」と後田氏は言う。
というのも、新規契約件数は医療保険および終身保険の増加を受けて近年増加傾向にあったのだが、低金利環境が継続した結果、2017年の4月に貯蓄性商品の保険料が大幅に値上がりした。その影響か、2016年、17年と2年連続で新規契約件数は減少した。
つまり、健康増進型保険が増加した背景には、新たに売れる商品を作らなければならないという、保険会社側の切実な事情があったと推察される。