安倍内閣の推進する働き方改革などもあって、長時間勤務が改善されている会社も多いようだ。しかしその一方で増えているのが、仕事が早く終わってもすぐには帰宅せず、ゲームセンターや公園などで時間をつぶす30~40代の“フラリーマン”だ。『フラリーマンの心理を読む 帰る夫の作り方』(毎日新聞出版社)の著者でもある心理学者の渋谷昌三氏にフラリーマンの問題点や対策法などについて、詳しい話を聞いた。(取材・文/清談社)
かつては定年間際、最近は中年層が
家に帰らない“フラリーマン”に
過労死や過労自殺で労災認定される人は、毎年200人前後で横ばいが続いている。そんな現状に危機感を抱いた国は、働く人の命や健康を守るために長時間労働を抑える仕組みや、プレミアムフライデーなどを導入し、残業時間を減らす政策を推し進めている。
そんな状況の中でひそかに増え続けているといわれるのが“フラリーマン”。そもそもフラリーマンとは、既婚男性が家に帰らずフラフラすることとサラリーマンを掛け合わせた造語で、2000年代前半に渋谷昌三氏が著書『「上司が読める」と面白い』(新講社)で使った言葉だ。
その渋谷氏によると、フラリーマンは「夫婦関係の黄色信号」だという。
「当時は定年退職を控えて仕事も落ち着き、時間を持て余した団塊の世代にフラリーマンが大勢いました。しかし、近年は働き方改革やプレミアムフライデーの導入により全国のサラリーマンの退社時間が早まった結果、急に時間ができてしまってあらゆる男性たちが、その時間をうまく使えずに持て余しているのです」
家庭を持つ30~40代の男性の場合、結婚していれば子どもが生まれて家事や育児が大変な時期。ワンオペ育児が問題視される昨今、時間に余裕ができたのに仕事が終わった後、真っすぐに帰宅しない夫に対して妻側が不満を持つのは仕方のないことだろう。
「妻側が家事や育児を甘んじて受け入れてきたのは、夫が頑張って仕事をしていると思っていたからです。それが、どうやら仕事が早く終わっているらしいというのが分かれば、当然、家事・育児を手伝ってほしいと思いますよね」