データが「新しい石油」であるなら、その保存と処理に使われるメモリーチップの将来は明るい。だが変動は激しいものになるだろう。メモリーチップ業界は昨年、好況だったにもかかわらず株価が急落した。2019年はその逆パターンになる可能性がある。韓国のサムスン電子、SKハイニックス、米マイクロン・テクノロジーの世界3大メモリーチップメーカーは2018年に四半期営業利益で過去最高を更新し続けたが、業界の成長が鈍化したこともあり、株価は平均で23%も下落した。2年に及んだ価格高騰の後、メモリーチップ価格はこの数カ月間で下落し始めている。この傾向は今年も継続する可能性が高い。スマートフォンの販売台数が低迷し続ける一方で、価格高騰の原動力だったデータセンターへの投資にも減速が見込まれるなど、需要が弱まっているからだ。米金融大手モルガン・スタンレーによると、クラウドインフラへの設備投資は2019年に14%増加するが、昨年の28%増からは減速するという。それなのに、メモリーチップメーカーは生産能力を増強してきた。米半導体市場調査会社ICインサイツによると、大手3社は昨年、総額454億ドルの設備投資を行ったという。半導体価格を調べているDRAMエクスチェンジはデータ処理に使われるDRAMチップの価格が2019年に16%下落し、データ保存に使われるNANDチップの価格が30%下落する可能性があるとみている。
メモリーチップ株、今年の減益は織り込み済み
サムスン電子など大手の株価はすでに安く、業績不振でも投資家の打撃は少なそうだ
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