鳴り物入りで上場した直後に、株価の急落劇を演じた米Facebook(フェイスブック)。市場のシステム障害や情報開示の不備の発覚など、予期せぬトラブルに見舞われたとはいえ、それらをきっかけに「期待」が一気に剥落してしまった背景には、以前から同社の先行きに対して、投資家が少なからぬ「課題」を感じていたせいかもしれない。上場を前にして強気な見方ばかりが喧伝されていた感があるFacebookだが、この機に改めて「真の期待値」を検証しよう。(取材・文/岡 徳之、協力/プレスラボ)
Facebookは大丈夫なのか?
鳴り物入りの上場で「期待」が剥落
米国現地時間の5月18日、マーク・ザッカーバーグCEOが、カリフォルニア州メンロパークの本社からオープニングベルをリモートで鳴らし、Facebook(フェイスブック)はNASDAQ市場への上場を果たした。ここに、時価総額1000億ドルの大企業が誕生した。
公募価格38ドル、初値はそれを10%上回る約42ドルを記録、終値は公募価格とほぼ同水準で落ち着いた。このIPOで、FacebookはIT企業として過去最大規模の160億ドルを調達。米CNNによると、米国企業のIPOとしては2008年のVisa(197億ドル)、2010年のGM(181億ドル)に次ぐ規模だという。
しかし同社は、上場初日から予期せぬトラブルに見舞われる。市場のシステム障害により、取引時間中に約定できない注文が発生していたことがわかったのだ。
そのお陰で、上場2日目となる5月21日、初日に高騰を期待して買われた同社株は、短期筋によって見切り売りされ、初日終値より一時14%近くも急落。公開価格の38ドルを大きく割り込む33ドルをつけた。
23日には、上場以来初めて前日終値を上回ったが、公募価格は下回ったまま。同社が上場前に提出した目論見書に、業績予想の引き下げを反映していなかったことが発覚したことも、上値を重くしている。足もとでは、同社やNASDAQの運営会社に、損害賠償を求める訴えを起こす動きも出始めた。
「期待外れだ」「Facebookは大丈夫なのか?」「上場は失敗だったのではないか?」