また通常のサウナ室内は空気の流れがほとんどありませんが、火災現場では強い気流が発生しますので、熱量(cal)は数倍に跳ね上がります。

(2)煤(すす)や(3)大量の塵(ちり)ほこりは、肺を詰まらせ、窒息の危険を引き起こします。

(2)(3)はすべて0.2~1.5μm(マイクロメートル)程度の目に見える大きさの粒子です。大量に発生した成分に光が当たると小さいものは白煙に、大きいものは光を遮り黒い煙に見えます。

 これらの大きさの粒子から呼吸を守る方法は2通りあります。1つ目は、汚染された外気を遮断して綺麗な空気を供給する方法(空気呼吸器)。2つ目は、有毒な粒子を物理的に捕捉するフィルターを通して呼吸をする方法(防塵マスク)です。N95クラスのフィルターマスクでも十分に効果はありますし、防塵マスクが調達できなければ、ガーゼ・ハンカチやタオルで、ある程度代用できます。ただし後述するように、上記のマスクや代用の布生地類でも、有毒ガスは通過してしまいます。

N95フィルターマスク
N95フィルターマスク(画像提供:熊谷氏)

 ちなみに、タオルなどざっくり編んだ布の場合は、一度水に濡らしてからきつく絞ると、煤状の大きな粒子を捕捉しやすくなります。このときに気をつけたいのは、ハンカチ・ガーゼなど細い繊維で目の詰まった布は、水に濡らさないということです。水に濡らすと繊維の目に水膜が生じ、通気ができなくなりますので、窒息のリスクが上がります。

 さて、上記(1)~(3)の生成物だけならそれほど怖くはないのですが、一番致死率が高いのが、(4)の有毒ガスです。

「煙が黄色くなると死を招く」

 身のまわりを見渡すと、木、繊維、ウレタン、ケーブル、油など、燃える素材があることに気づきます。ほとんどの素材は、本来きちんと高温で燃焼させれば、それほど多くの有毒ガスは発生しません(完全燃焼)。ですが火災現場の場合、燃焼温度や酸素濃度などいろんな条件が組み合わさることで、非常に多種の有毒性ガスが発生します(不完全燃焼)。これが厄介なのです。

>>(下)に続く

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