対北朝鮮安保政策を転換
保守政権の政策を「積弊清算」

 文政権は、なぜここまで「強気」なのか。3つの理由が考えられる。

 第1に、文政権発足後、韓国軍は安保戦略を180度修正したようにみえる。つまりかつて「敵」としてきた北朝鮮を敵とはみなさなくなった。

 米軍を介して日本とは間接的な同盟関係にある韓国は、文政権が誕生するまでは軍事面で協力関係にあった。北朝鮮は日本と韓国の共通の「敵」だった。

 しかし、文政権になってから韓国は安保問題では日本と距離を置こうとしている。少なくともそうした姿勢を北朝鮮と中国に見せる努力をしている。

 文政権が発足して半年後の2017年11月、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は中国を訪れ「3不(3つの事柄をしない)」を約束した。後に「約束」ではなく「立場を表明した」だけと弁解したが、いずれにせよ内容は変わらない。

「米国が主導するミサイル防衛システム(MD)に加入せず、韓・米・日協力を軍事同盟には発展させない、高高度ミサイル防衛システムを追加導入しない」というものだ。

 このうち二つの「不」は、日本とは距離を置くことを意味する「約束」だ。日本よりは北朝鮮、中国のほうに配慮している姿勢がうかがえる。

 第2に、文政権の政権運営の考え方や政治路線と関係がある。

 大統領就任後、文大統領がぶれずに、しかも最優先課題として推し進めてきたのが「積弊清算」だ。

 これは過去の軍事政権や保守政権時代に積もりに積もった「弊害」を一掃するというものだ。

 そのために、政府内の各部署にはタスクフォース(作業部会=TF)を立ち上げ、すでにさまざまな形式で調査が行われている。

 すでに結論が出ている事件であっても、過去の軍事政権や保守政権時代の主要事件は再調査し、時には全面的に結論や評価をひっくり返し、関係者を処罰してきた。

 国家安全に関わる秘密を取り扱う国家情報院(旧KCIA)や国家機密を扱う外交部も例外ではない。

 2015年12月、日韓両政府の間で決着をつけたはずの慰安婦問題を蒸し返したのも、一般市民が参加するタスクフォースに日韓両政府の交渉過程を記録した外交機密を開示し、見直しを許したからだ。