インドで最初に見つかった抗生物質の効かない耐性菌(スーパーバグ)が、遠く離れた北極圏にあるノルウェーのスバールバル諸島で発見されたことが、新たな研究で分かった。移動に要した時間は3年足らずと見られており、スーパーバグがいかに速いスピードで世界中に広がり得るのかがあらためて浮き彫りとなった。スーパーバグを巡っては、世界的に懸念が高まっている。2014年の英政府の報告書によると、抗生物質の効かない感染症により、世界で毎年70万人以上が死亡。一部の細菌は最後の治療手段にも耐性を持つよう進化しており、スーパーバグによる死亡者は今後数十年に10倍に増える恐れがあるとしている。スーパーバグは医薬品や農畜産物を通じた抗生物質の過剰摂取により、病院などの医療施設で感染が広がるとされる。だが研究者によると、動物や人間の体内で運ばれる水や食料を通じて、あらゆる環境下でも発生するという。細菌は互いに競い合う過程で遺伝子を進化させており、人間の干渉なく、耐性が継続的に起こる仕組みとなっている。こうしたすべての要因が重なり、スーパーバグがどのように発生し、その後広がっていくのか、正確なメカニズムの解明を難しくしているという。
インド発スーパー耐性菌、3年弱で北極圏に到達=研究
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