官民ファンド会見
2018年12月、記者会見で辞意を表明した田中正明・産業革新投資機構社長(当時)。根底には官民ファンドの本質的な問題が存在する Photo:JIJI

 昨今、日本でもベンチャーキャピタル(VC)のようなリスクの高い投資ファンドが話題に上るようになった。そんな中、去年の暮れに、官民ファンドである産業革新投資機構(JIC)の民間出身の取締役9人が、新ファンドが船出する矢先に全員辞任するというニュースが大きく報道された。JICの経営陣に成功報酬制度を導入し、年によっては報酬が1億円を超す可能性があることに経済産業省が合意していたが、その合意が急に撤回されたことが原因だという。

 この騒動に対する見方は二つに分かれた。新聞各紙を見てみると、民間ファンドに近い運営の必要性を訴える報道がある一方で、「国の資金であるため説明責任が求められるのは当然。民間資金の呼び水となるような資金提供に特化するなど、機能を限定するべき」という、限定的な運営を求める論調もあった。

 さらに、「あくまで民間資金を使って推進すべきだ」「(官と民の)バランスを取り得るのか」と、官民ファンドの必要性そのものに懐疑的な意見もあった。

 問題の本質は、宮内義彦オリックスシニア・チェアマンが「日本経済新聞」に寄稿していたように、「政策投資とハイリターンという二つの目的を両立させるのは、極めて難しい」ことにある。根本的に矛盾しているものを無理やり組み合わせたものが官民ファンドなのだ。