課題文で述べていることは「日本人は自己主張が苦手」という話でした。

【解答1】は、きちんとその点についての認識を出発点に、「日本人の気質は時代とともに変化してきている」という自分の結論を出しています。この解答は、課題文の論点をきちんと踏まえています。

しかし、【解答2】は、課題文の内容を無視して、問題文の「日本人の気質についてあなたの意見を述べてください」という部分にだけ着目して書いています。

もし、今回の問題が単純に「日本人の気質について、あなたの意見を述べてください」であったら、【解答2】でも合格点です。しかし、「課題文の論点を踏まえながら」という条件が付けられているのですから、課題文の主張を出発点にして、そこから日本人の気質について自分がどう考えたか、を書かなければいけないということです。

【解答2】のようなミスを防ぐために、いちばん間違いのないやり方としては、解答の冒頭で簡単に課題文の内容を受けてから、自分の意見を書き始めることです。

これは、【解答1】で言えば、「私は日本人が、自己主張が苦手だとは思わない」の部分です。冒頭で課題文に対しての自分の立場を明確にしてから、自分の考えを述べています。

実際の答案では、もっとしっかり課題文の内容を受けて論じることになりますが、要は、こういう流れにするということです。

今回はごく短い課題文でしたが、長いものになると、この点があいまいになってしまう答案が多いのです。

課題文付きの小論文は、大学入試で最も多用される出題形式です。課題文を踏まえるとはどういうことなのか、しっかり頭に入れて本番に臨みましょう。

『落とされない小論文』では、このほか、小論文試験に一発合格する必要最低限の情報を、凝縮して伝えています。

ぜひ、直前対策に、そして基礎力の養成に、本書を使い倒してください。