センター試験も終わり、国立大志望者を中心に、本格的な小論文対策の時期を迎えた。

小論文は「対策がよくわからない科目」であるため、対策が後回しになりがちだ。

しかし、「実は、多くの受験生にとって、やるべきことは明確」というのは、元NHKアナウンサーの小論文講師で、現在6刷2万8000部超のベストセラー『全試験対応!直前でも一発合格! 落とされない小論文』の著者、「ウェブ小論文塾」代表・今道琢也氏だ。

本記事では、大学入試の小論文試験で最も多用される「課題文付きの出題」について、多くの受験生がミスを犯しがちなポイントと、その回避策についてお伝えする。(構成:編集部 今野良介)

課題文の主張を出発点にして書く

大学入試シーズン本番となりました。

小論文でよくある出題形式に「課題文を踏まえて、あなたの意見を述べなさい」というタイプがあります。

・「次の文章を参考にして、~についてのあなたの意見を述べなさい」

・「この文章の論点を踏まえ、あなたの意見を自由に論じなさい」

など、多少表現が違うこともありますが、どれも問題の趣旨は同じです。

この「課題文を踏まえる」という条件をクリアせずに書いている人が、意外に、多いのです。

そこで、課題文を踏まえるというのはどういうことか、ごく短い文例で考えてみましょう。

仮に、次のような問題があったとします。

大学入試の小論文「課題文を踏まえて書け」のあるあるミスと攻略法いざ、勝負。

 

【問題】課題文を踏まえ、「日本人の気質について」あなたの意見を述べてください。

【課題文】
日本人は自己主張が苦手な人が多い。例えば会議などの場でも自分から発言する人はほとんどいない。言いたいことをストレートに言う人はむしろ、困った人という目で見られがちだ。

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さて、次の2つの回答を見てください。

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【解答1】
私は、日本人が自己主張が苦手だとは思わない。むしろ最近では、何かと自分の意見を押し通す、クレーマーのような人が増えていると聞く。日本人の気質は、時代とともに変化してきていると思う。たとえば……


【解答2】
日本人の気質として思い浮かぶのは、時間に正確ということだ。たとえば、鉄道は1分単位の正確さで運行されている。これは外国では考えられないことで、日本人の気質を物語っていると言える。そのほか……

さて、どちらの解答が、「課題文を踏まえて」書いているでしょうか?