小論文試験の直前対策に必読。

「どうやって評価が決まるのか?」「自分の書いた答案は、どこが悪いのか?」「どうすれば、合格答案が書けるようになるのか?」

元NHKアナウンサーの超人気講師、新刊『落とされない小論文』の著者今道琢也氏が、これらの疑問に明確な結論を出します。本番直前からでも、独力で合格水準まで到達するスキルと考え方をお伝えしていきます。(構成:今野良介)

用意した「キーワード」を
無理やりはめ込むのは自滅行為

私が指導した人の例で、こんなことがありました。

就職試験の小論文を練習していた人が、途中までは良く書けているのに、毎回決まって答案の後半に入ったあたりからまったく関係ない話が始まり、完全に論理破綻を起こしていたのです。

どうしてこんな答案になるのかと疑問に思い話を聞いてみると、「答案の中に会社の経営理念を書き込むと合格するというウワサを聞いたから」ということでした。途中から割り込んでくるまったく関係ない話とは、まさに経営理念に関する話だったのです。

問題が「当社の経営理念を踏まえて述べなさい」など、経営理念を書くのにふさわしいものであればそうすべきですが、無理やり経営理念をはめ込んでも論理が破綻するだけです。小論文試験では論理的な文章になっているかどうかが大事な評価基準ですから、そんなことをしても減点要因になるだけです。

高校教師の「ムチャクチャな指導」

また、ある高校生から、「私の高校で小論文を指導している先生から、『どんな問題が出ても大学の学校案内に載っている言葉を使って書くと良い。そうすれば高評価になる』と教えられたのですが、これは正しいのでしょうか」と質問を受けたことがあります。

学校の先生がこんな無茶苦茶な指導をしていることに啞然としましたが、正しいはずがありません。

高校教師のムチャクチャな小論文指導根拠のない指導を信じてはいけません。

小論文試験とは文章の論理性や、思考力、構成力などを評価するものであって、「学校案内に出てくるキーワードが入っているから得点をプラスしよう」という評価基準はありえません。

ちなみにこの高校生の志望校の過去問題を調べると、「テーブルマナーは私たちにとってなぜ必要なのか?」といった内容でした。この問題に対して、学校案内に載っている言葉をどうやって盛り込めばよいのでしょうか。

このように、あらかじめ書く内容を決めていて、そちらに強引に話を誘導しようとする人は少なくありません。では、なぜ「筋書き通り」のストーリーを書いてはいけないのか、いくつかの事例で説明します。

次のページの2つの解答例をご覧ください。