2000億ドル(約22兆2000億円)相当の中国輸入品に対する米国の関税は、3月2日に大幅に引き上げられる予定だった。だがドナルド・トランプ米大統領は米中通商協議で「著しい進展」がみられるとして、関税引き上げを先送りする考えを表明。習近平国家主席との直接会談で包括合意を目指すとしている。これだけ明るい材料が伝わった後で協議が決裂すれば、市場と企業の信頼感に大きな打撃が及ぶだろう。では、投資家は米中の合意の中身をどのような基準に従って評価すべきか?まずは、合意が米貿易赤字圧縮に向けた中国の品目別の輸入拡大、もしくは中国経済政策の抜本的な改革のどちらに焦点を当てているかだ。中国が米国から石油・ガスや農産物の輸入を増やせば、米国の石油掘削会社や農家は潤うだろうが、一方でカナダやオーストラリアなど同盟国の輸出を奪うことにもなる。