ある意味で合理的なシステムだ。一生勤めると思えば、愛社精神も忠誠心も持ちやすい。社内の人事異動でさまざまな仕事を体験させ、各人の適性を人事部が見定めた上での人員配置を行うことができる。しかも、ゼネラリストとして他の部署がどんなことをしているのか知っているので、部門間の連携も取りやすい。

 これに対し、欧米では学校を卒業してから就職活動をして、即戦力として自分の専門の仕事に就く。仕事が決まり、勤務先は変化する。これは「ジョブ型」と呼ばれる。これには、「この道一筋のスペシャリスト」が育てやすいというメリットがある。

 例えるなら、日本型は「私は巨人の選手です。投手も捕手も代打もやります」というもので、欧米型は「私は投手です。たまたま今は巨人にいます」というものだ。その意味では、欧米型は日本企業よりプロ野球に近いといえるだろう。

合理的にも見えるが
問題も多い欧米型

 欧米型は一見合理的なようだが、問題も多い。人生で最初に野球をやる場所が得られないと、才能を発揮するチャンスが与えられず、一生失業してしまうようなことにもなってしまう。

 プロ野球チームの採用は即戦力採用であって、問われるのは実績であるから、「私は体力も運動神経もあるので、鍛えれば立派な野球選手になります」では採用されない。プロ野球なら、甲子園や大学野球などの実績で採用されるからまだいいが、自動車の営業担当の場合はそうはいかない。

 自動車を売ったことがない優秀な(ポテンシャルのある)学生は、三流会社で自動車を少しだけ売った実績があるライバルに勝てないからだ。要するに、最初に三流企業の自動車販売会社に採用されるか否かが重要で、それが無理だと一生失業者かもしれないのだ。

 欧米では若年労働者の失業率が高い。要するに、実績を積み上げるチャンスを与えられないまま放置されている若者が多いのである。これは大変もったいない。