2018年度から「道徳」が小学校で教科化されました。
2011年滋賀県大津市で、凄惨ないじめによって中学2年の男子生徒が自殺したことがきっかけで、「道徳」が小学校で教科化された。しかし、現状の教科書の内容で果たして効果が上がるのか?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

2018年度から小学校で教科化された「道徳」。文部科学省は、道徳教科化の目的として、いじめ問題の対応を第一に挙げているが、はたしてどのような効果が期待できるのだろうか。著書『誰が「道徳」を殺すのか』(新潮新書)がある、教育評論家の森口朗氏に話を聞いた。(清談社 福田晃広)

道徳の「教科化」
きっかけは壮絶ないじめ事件

 道徳が教科になったとはいえ、授業時間は1年生から6年生までずっと、週1時間であることに変わりはない。では、これまでと何が違うのかというと、大きく2つある。

 1つ目は、文部科学省の検定を受けた教科書を使って、授業が行われるようになること。これまで道徳は、教科外の活動とされていたため、各学校で内容がバラバラだった。そこで、学校現場でしっかりと学習指導要領に沿った内容の教育を行なうことが義務づけられたというわけだ。

 2つ目は、通知表で評価が付くようになることだ。ただ、評価といっても、数値化するのではなく、生徒1人1人の道徳性の発達を見て、記述による積極的評価を付けることになっている。

 なぜ教科外だった道徳が、このタイミングで教科化することになったのか。森口氏はこう説明する。

「2011年10月11日、滋賀県大津市立皇子山中学校で2年生の男子生徒が自殺した事件が直接のきっかけです。この事件は、男子生徒の手足をハチマキで縛り、口を粘着テープで塞ぐほか、トイレや廊下での暴行、万引の強要、ハチの死骸を食べさせるなど、あまりに凄惨ないじめだったため、社会的に大きな注目を集めました。この事件で明らかになったのは、教師や教育委員会がいかに信用できないのかということ。その表れが道徳の教科化に結びついたというわけです」(森口氏、以下同)