価格差を生む
新築と中古の販売事情の違い
仕事柄、自宅選びで意見を求められるれることが多い。典型的なのはこうした質問だ。
「新築の2つの住戸で迷っています。どちらがいいですか?」
同一の新築物件の中で、価格や面積や間取りや向きの違いで悩むケースである。そんなときでも筆者なりに「資産性」で回答する。どちらでも似たようなものならば、相対的に割安な住戸を探し当てればいいのだ。
そこで、これまで自分が物件を購入する際につくってきたのが、価格表から最もコスパのいい住戸を探し出すロジックだ。これは、端的に儲かるマンションの部屋を教えてくれる。
新築を売る側は、まとまった広告費を投じて一気に多くの戸数をさばく。この事業は読者が思うほど簡単ではない。なぜなら、同じ物件を同時期に売るので、顧客の数が限られているからだ。その少数の人たちに、住戸ごとに差をつけてどれかを選んでもらうわけなので、設計が終わっている後で変えられるのは価格だけとなる。
そこで、新築の価格設定はかなり歪んでしまう。住戸の向きの人気不人気で大差が付いたり、眺望差に敏感になったりする。それは全戸を比較して買うことができるという、新築物件特有の事情による。
これが中古なら、同一物件内の住戸同士で比較されることもあまりない。そうなると、物件ごとの比較がシビアになる。そもそも物件自体が気に入らないと、見向きもされなくなる。新築では住戸の専有部分が気になるが、中古では物件自体が持つ共用部分の魅力が強調されることになるというわけだ。
まず、新築の売り方で覚えておきたいのは、「広告住戸は安い」だ。広告で「3LDK/70平方mが3960万円から」などとなっていたら、その住戸は割安な可能性が高い。本来は4200万円で売るはずの住戸が、集客力を上げるために1戸限定で4000万円を切っているケースをつくっていることがある。