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シリコンバレー発のMakerムーブメント
その提唱者を迎えた初めてのカンファレンスが開催

【第9回】 2012年6月7日
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Makerムーブメントの提唱者、デール・ダハティ氏(中央)が初来日し基調講演を行った

 「Makerムーブメントを先導すること・追いかけること」と題した基調講演で、デール・ダハティ氏は、まず、「自分は確かにMakerムーブメントを起こした人間ではあるが、Makerの活動を追いかける応援者でもある」と述べ、「メイカー・フェアを通じてさまざまな分野の人同士が出会い、新たなものを創造する出発点になってくれれば嬉しい」と語った。

 また、さまざまな分野のMakerが集まること以外の特徴として、1人の天才や専門家が何か素晴らしいものを創造して発表するというのではなく、ごく一般の人同士が一緒になって楽しみながら作り上げていくものであるということも強調した。

 その点について、デール・ダハティ氏は、「スティーブ・ジョブズは、『決して才能のある人ではなく、あなたのような普通の人が作ったものが、世の中を動かしている。自分の世界を作り上げていくことは誰にでもできるし、それを次世代の人が改善する。そういった歩みが我々の社会を作ってきた』と語った。この言葉はMakeの精神そのものだ」と述べた。

ダハティ氏が講演のなかで紹介したスティーブ・ジョブズの言葉。ある高校の壁に貼られていたものだという

 そして、「二人のスティーブ(ジョブズとウォズニアック)が最初にありあわせの資材で作った木製のきょう体のアップルIが数十年後、現在のアップルにつながるように、Makerたちによって作られた作品が30年後、どれだけ発展したか、また、ここから、どれだけの新しい産業が芽生えたかを振り返ってみたい」と語った。

 また、従来のDIYとMakerムーブメントの違いとして、同じDIYでも、自分のガレージや地下室にこもって、孤独に黙々と行うのではなく、自分が作ったものに対して、他人が新たな機能を付け足すなど、色々な人が必要に応じて改善しながら、いくつもの作品や製品を作り上げていくものであることを挙げた。いわば、ソフトウェアにおけるオープンソースのムーブメントをハードウェアで実現するのがMakerムーブメントというわけである。

 「オープンソースハードウェアは、重要なキーワードであり、時代の新たな動きである。そしてそれを可能にしているのが、3次元プリンターやレーザーカッターなど高性能な道具の民衆化である。これまで、一般の人々は消費者と呼ばれてきたが、これからは、誰もがMakerになる社会にしていきたい」という期待を述べ、デール・ダハティ氏は基調講演を終えた。

 午後からは、各会議室に分かれ、「オープンソースハードウェアの理想と現実」「オープンソースとデザイン」「DIY Money」といった分科会が開催された。

 各分科会では、アーティストや大学教員、メーカーの商品企画担当者などをゲストに迎え、ハードウェアのオープンソース化による可能性と著作権問題などの課題、オープンソースハードウェアにおけるデザインのあり方、Makerとしてのビジネスを拡げていく方法などの話題に関して突っ込んだディスカッションが行われた。

 最後のクロージングセッションでは、各分科会でのディスカッションの内容などが報告されたほか、今後の日本でのメイカー・フェアの予定などが発表された。また、同イベントを通しての質疑応答も行われ、会場からは、意見や感想、提案が活発に述べられた。午前10時30分から8時間にも及ぶイベントだったが、来場者数は最後まで減ることなく、大盛況のうちに幕を閉じた。

 次回は、2012年11月に、第8回目に当たる「Maker Faire Tokyo」が開催されるほか、2012年8月25日と26日には、岐阜県大垣市のソフトピアジャパンセンタービルで「Make: Ogaki Meeting 2012」が開催されるとのことだ。

(文/科学技術ジャーナリスト 山田久美)
(デール・ダハティ氏への単独インタビュー記事はこちら

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