ドナルド・トランプ米大統領は15日、国家非常事態宣言を無効とする議会の決議に対して拒否権を発動した。メキシコ国境を巡り、議会が予算を割り当てていない壁建設の費用を捻出する権限を行使した格好だ。トランプ氏は拒否権の発動前に行われたイベントで、「きょう私はこの決議に拒否権を発動する」と宣言した。マイク・ペンス副大統領や法執行関係者、子どもを不法移民に殺されたとされる親たちも同席した。トランプ氏は「議会にはこの決議案を可決する自由があり、私にはそれを拒否する義務がある」とし、決議は「危険」で「無謀」だと続けた。トランプ氏が大統領に就任して以降、拒否権を行使するのは初めて。議会が拒否権を覆すのは極めて難しく、上下両院でそれぞれ3分の2以上の票を必要とする。下院の民主党指導部は今月中の採決を予定しているが、拒否権を覆すには様々な法的制約がある。