21日は、アルツハイマー病患者への悲報が米株式相場にも波及した。米バイオ医薬品大手バイオジェンは同日午前、注目されていたアルツハイマー型認知症の治療薬候補「アデュカヌマブ」の後期治験(臨床試験)を中止すると発表した。この病気は治療の難しさで知られているが、それでも投資家は不意を突かれた。バイオジェン株は発表直後急落し、29%安で引けた。バイオジェンは今後の成長に突然課題を抱えることになった。調査会社ファクトセットによれば、アナリストらはアデュカヌマブの売上高が2023年には約30億ドル(約3300億円)と、同年の総売上高の2割を占めると予測していた。一方で、現在バイオジェンの売上高の大半を占めている2大分野である多発性硬化症(MS)と脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬を巡る競争は激化している。バイオジェンの売れ筋のMS治療薬「テクフィデラ」を巡る訴訟が事態の悪化に輪をかける可能性もある。スタイフェルのアナリスト陣は「バイオジェンは今や成長に深刻な問題を抱えているといえる」と指摘した。