この都市の高級な高層オフィスビルにあるカジノのホールでは、露出の大きい服を着た若いディーラーがカードをさばき、中国人客に魅力的な笑顔をふりまいている。ただし、そこにはディーラー以外の姿は見当たらない。プレーヤーとはウェブカムでつながっている。フィリピンは最近まで、カジノやホテルを建設し、旧来のやり方でギャンブルを楽しむ客を引きつけていた。しかし、中国当局が2015年に反腐敗運動を強化し、国外での高額賭博を厳しく取り締まり始めたことで、中国人の客はオンラインに目を向け始めた。中国ではオンライン賭博は違法だが、見つからずにプレーしやすいためだ。その結果、フィリピンのオンライン賭博業界に好景気が到来した。国内に数百万ドルの収入をもたらし、首都の不動産市場を浮揚させている。しかし一方で、監視が難しく、不法移民やマネーロンダリング(資金洗浄)のリスクに関する調査を求める声が政治家から上がっている。