ドナルド・トランプ米大統領は21日、シリアとの国境に位置するゴラン高原についてイスラエルの主権を認めるとツイートした。トランプ氏がツイッターで米国の新方針を表明するのは最近よくあることだ。今回のツイートは、単に同氏の個人的な衝動によるものではなく、米国とイスラエルの利益にとって理にかなっている。イスラエルは1967年の第3次中東戦争でシリアからゴラン高原の大半を奪い、1981年に正式に併合した。他国はイスラエルの主権を一度も認めておらず、米国の交渉担当者は数十年にわたりゴラン高原はイスラエルが広範な和平調停の一環としてシリアに返還する土地だとみなしてきた。シリアの長引く内戦による混乱で、このシナリオが実現する可能性は一段と薄れた。バッシャール・アサド一族が支配するシリアは、イスラム聖戦を掲げる民兵とイランの代理勢力とによって割れた大釜と化した。イスラエルがゴラン高原をコントロールしていなければ、今ごろはイスラム教シーア派組織ヒズボラ教過激派組織「イスラム国」(IS)に支配されていたかもしれない。いずれもイスラエルにとっては受け入れられない現実だ。
【社説】ゴラン高原のイスラエル主権認定は妥当
中東の現状を受け入れることに
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