視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。
「米俵」で地域活性化に
成功した長野県飯島町
以前もこの連載に書いたように、私は長野県に住み、米作りを手伝っている。かれこれ、もう3年になるのだが、物好きな私は、せっかくなので米俵も自分で作ってみたいと、かねがね思っていた。
そこで、米俵の作り方を教えてくれる人を探すことにした。だが、身近な人たちに尋ねても、なかなか見つからない。
昔は、どの農家も自家用の米俵を作っていた。米を出荷するのに必要だったからだ。しかし、紙製米袋の普及に伴い、今では米俵を自分で作れる人は、ほとんどいなくなってしまっていた。
しかたがないので、ネットで「米俵作り」を検索してみた。すると県内の飯島町に米俵作りの先生がいるらしい。さっそく訪問してみた。
その先生は40代半ばと意外に若かった。だがそれ以上に驚きだったのは、米俵作りで地域おこしをしていることだ。
飯島町は古くからの米どころである。だが近年は、他の多くの農作地と同様に農業人口が減少。耕作放棄地が増大している。
先生は、この状況をなんとかしたいと思ったそうだ。そこで、7年ほど前からわら細工や米俵作りを学ぶかたわら、「米俵マラソン」などのユニークなイベントを企画する。