航空ショーの会場に設置された大型テントの中を、2機のドローンが時速約112キロで飛んでいた。いくつものゲートをくぐり、のぼり旗の間を縫うように進む。観客席では初めてドローンレースを観戦したポーラ・カムナーさんが小型マシンのスピードと動きに感心した。だが、アナウンサーが発表するまで、カムナーさんには勝者が分からなかった。カムナーさんはレース場からほんの数メートルのところに甥(おい)のハリー君と座っていたが、「(発表がなければ)さっぱり分からなかった」と言う。「(ドローンが)ほとんど見えないから」ドローンレースのファンは競技の人気が高まりオリンピック種目に採用されることを期待しているが、まずはドローンがよく見えなければならない。レース用ドローンはボディーが小さい(対角線上にあるモーターとモーターの距離が25センチ程度の)ものが多く、ベテランのアナウンサーでも、ビデオ映像とリアルタイムのデータが表示される複数のスクリーンを頼りに勝者を判断している。