カジノディーラー志願者たちの声を聞いてみました。カジノ法案が可決したことで、ディーラー志望者が増えている。ディーラーにはゲームの正しい進行はもちろん、接客技術やトラブル発生時の対応など、さまざまな知識が求められる Photo:PIXTA

2018年7月に可決成立したIR整備法。日本ではカジノというビジネスはまだまだなじみは薄いが、今後の産業の担い手・消費者予備軍となる若者にスポットを当て、若者がどのような価値を見いだし、どのように関わっていくのかを探っていくシリーズ企画。第1弾は、日本初のカジノディーラー養成機関である日本カジノスクールで話を聞いた。ディーラーの育成が急がれる今、ディーラーの卵や育成者たちは何を思うのか。(清談社 松嶋千春)

18年度の生徒は16年度の約4倍
東南アジアでの需要高まる

 2004年4月に開校した日本カジノスクールの校長・大岩根成悦氏は、日本版IRカジノ合法化の追い風を感じているという。

「2016年度の生徒数は42人、同年12月にIR推進法が通り、翌17年度は104人になりました。さらに、18年7月にIR整備法が可決され、18年度の生徒数は167人に。ニュースでIR(統合型リゾート)という言葉を初めて知り、興味を持ったのがきっかけで応募してくる人が増えています」(大岩根氏)

 彼らは、具体的にどのような志を持って入校してくるのだろうか。

「スーパーバイザーなどの管理職を目指すコースには、社会人経験のある上の年代が集まると思ったのですが、いざ開設したら『将来は一歩上を行くんだ』という志の高い若い人が多いです。全体で見ると『海外で経験を積んで、日本版IRカジノで働きたい』という人が約半数で、会社員・OL・主婦の方は『今すぐにではないけれど、日本にIRカジノができたらすぐに働けるように』という人が多いです。一方、ルーレットなど特定のゲームの進行を学ぶコースには、50~60代で趣味として学んでいる人が多い印象です」(大岩根氏)

 同校のこれまでの卒業生約700人のうち、約2割は海外のIRカジノで働いているそうだ。日本人ディーラーの需要があるエリアはどの辺りだろうか。

「カンボジアやベトナムといった、日本企業の駐在員が多い国での求人が増えています。卒業生が一番多く在籍しているのはシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズで、70~80人ほど働いています。また、カナダにはワーキングホリデーを利用して働ける提携カジノがあり、毎年コンスタントに5~6人ずつ送り出しています」(大岩根氏)