ドナルド・トランプ米大統領は欧州の同盟諸国との間に不要な対立を招いているとの批判が多い。北大西洋条約機構(NATO)のイエンス・ストルテンベルグ事務総長は3日、米上下両院の合同会議で演説し、異なる見解を示した。「同盟国は防衛費を増やす必要がある。これはトランプ大統領からの明確なメッセージであり、このメッセージによって実際に効果が生じている」ストルテンベルグ氏の発言は、戦略的・経済的現実が米国の外交政策のあり方に抜本的変化を求めていることを反映している。NATO内の望まざる亀裂は、もはや存在しない世界で生き続けることを欧州の首脳陣が、とりわけドイツとフランスの指導者が望んだ結果だ。米国はこれ以上、欧州人が大切にする「ルールに基づく国際秩序」の執行者を務めることはできない。1990年代でさえ、米国がすべての国々の安全保障を無限に保証できるかどうかは疑わしかった。当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領が唱えた「新世界秩序」の主な代償として、米軍兵士の命と納税者が払ったドルが失われた。