トヨタのe-Palette Concept
令和元年は通信業界における「5G元年」だが、同時に「MaaS(マース)元年」でもある。世界規模の巨大な技術革新の動きとは。写真はトヨタのe-Palette Concept Photo:TOYOTA

あと戻りすることのない変化
「MaaS」という巨大技術革新

 まもなく「令和元年」が始まります。時代はどのように変わるのか、新しい変化が始まるのかと今からわくわくしています。

 株式市場における「変化」には2種類あります。循環的な変化と構造的な変化です。循環的な変化は景気サイクルに基づくもので、世界的に下向きの動きが最近強まっているのは否定できません。

 一方、構造的な変化は、世界的なパソコンの普及、その後に続いたスマホの爆発的な普及など、いわば「あと戻りすることのない変化」です。令和元年は通信業界における「5G元年」でもありますが、同時に「MaaS(マース)元年」でもあります。世界規模の巨大な技術革新の動きが始まっています。

「MaaS」は「モビリティ・アズ・ア・サービス」の略で、利用者は移動方法としての自動車は所有せず、使った分だけ料金を支払う方式です。自家用車から電車、バス、タクシー、自転車まで、あらゆる交通手段を1つに貫き、移動をトータルサービスとして提供するという考え方であり、ソフトウエアの世界ではクラウドの普及とともによく使われるアイディアです。

 最近のびっくりニュースの1つに、トヨタ自動車とホンダがソフトバンクを間に挟んで協業を開始するというものがあります。これも来たる「MaaS」を睨んでの動きだとされており、産業全体の勢力図を大きく変える破壊力を持っていると見られます。

 世界ではドイツ、フィンランド、オランダなど欧州諸国でMaaSが先行しており、1970年代から取り組んできた歴史があります。すでに30年以上が経過してフィンランドやスイスではMaaSが実用化されています。

 MaaSの目指す姿は、移動の手段をマイカーに頼らずに、できるだけ公共の交通機関に誘導しようというものです。欧州を中心に温暖化ガスの排出を少しでも食い止めようとする意志もありますが、生活圏としての地方都市の競争力の回復、さらには新しい街づくりの視点もあります。