年金積立金管理運用独立行政法人、通称GPIFが、2018年10~12月期の運用実績を公表し、14.8兆円の損失を出したことが明らかになりました。これは新聞でも報道されましたので、皆さんもご記憶に新しいと思います。この報道に対して、様々な方面から批判が出ています。14.8兆円という損失の大きさを強調するもの、その原因を2014年の資産配分変更としているもの、今後の景気後退局面においてさらなるマイナスを被るのでは、と危惧するものなどなど。資産運用業界に身を置く私としては、プラスのときにはたいしてニュースにならない一方、マイナスになると大きなニュースになるので、フェアではないなと感じていますが、私の個人的感想はひとまず置いておいて、オヤジを含む国民全員の老後の人生に大きく関係する公的年金の運用に対するこれらの批判が妥当なのか、見ていきたいと思います。
このマイナスは想定外に大きいのか?
まず、GPIFの考える期待リターンやリスクをベースに、今回の損失を評価してみたいと思います。14.8兆円という金額で考えると大きすぎて冷静な判断ができなくなりますから、収益率で考えてみましょう。GPIFの資産額は2018年12月末で150兆円程度ですので、14.8兆円の損失といってもリターンで見れば▲9.06%となります。