NECと富士通の両社共に、この提携で海外市場を狙うと発表しているが、サムスン電子やエリクソンが、両社と組んで海外市場を狙うメリットは少ない。
かつてパナソニックは4G基地局事業で07年にノキアと提携したものの振るわず、提携相手のノキアに事業を買収されて、ドコモ向けのシェアを引き渡し、基地局事業から撤退した。
5Gが本格化するにつれて基地局ベンダーの再編は一段と進む見通しだが、サムスン電子やエリクソンがNECや富士通と提携する理由は「ドコモ向けのシェアしか見当たらない」(業界関係者)。それぞれの提携先に買収されるリスクは高まっている。
日本の基地局ベンダーの衰退は、かつての携帯電話端末がたどった道に重なる。2000年代半ばに日本の携帯メーカーは9社がひしめいていたが、4Gの時代に米アップルのiPhoneに市場を奪われたことで、今やソニーとシャープ、京セラに絞られた。5Gの時代に、日本の基地局ベンダーが全滅すれば、国内の通信インフラは全てが外国製になる時代が訪れることになるだろう。