ITの専門調査会社、ミック経済研究所によると、ソフトバンクがこれまで導入したファーウェイ製品の金額は、06年度から17年度までの累計で1600億円を超えている。

 携帯電話のネットワークは、中央のデータセンターに置かれた基幹網と全国に広がる基地局網の二つの部分で構成されているが、すでにソフトバンクは、5Gの設備について、基幹網の部分でファーウェイ機器の導入を見送る方針を決めた。

 だが、すでに導入しているファーウェイ製品をどうするか。それが最大の課題だ。

 湧川隆次・ソフトバンク先端技術開発本部長は、本誌に対して「コア(基幹網)に導入されているファーウェイ製品は置き換えることを決めた」と明らかにした。

 もっとも、基幹網は基地局網に比べて圧倒的に設置数が少ない上に、同社の基幹網はほとんどがエリクソン製品。このため、置き換えの費用も「40億~50億円」(湧川本部長)で済む。

 一方で、本当の問題は、全国に広がる基地局網に設置されているファーウェイ製品にある。これをすぐに置き換えるとなれば膨大な作業と費用が発生する見通しだが、まだ最終決定はしていない。湧川本部長によれば「やはり将来的に置き換えていくと思うが、一気に5Gの設備を導入するわけではないので、しばらくは両方がある世界になる」見通しだという。

 ただ、ファーウェイの5G製品は他社より性能が1年近く先行しているといわれている。ソフトバンクの宮川潤一副社長は「本音では使いたい」と話しており、現場の技術者からも採用の要望が強く、いまだ流動的な要素は残る。

 ソフトバンクに加え、NTTドコモとKDDIを含めた日本市場全体の基地局ベンダーのシェアは、ノキアが高い。

 これは、ノキアがモトローラの通信インフラ部門とパナソニックの基地局部門を買収したのが大きい。もともとモトローラは3G時代にKDDIとの取引でシェアがあり、パナソニックはドコモ向けにシェアがあったが、それをノキアが引き継いだ。

 KDDIは4G時代もノキア製品の導入を続けたが、それと同時にサムスン電子とエリクソン製の基地局の導入も増やした。KDDIの5Gの機器選定では、この3社が有力な選択肢になりそうだ。