文大統領は1泊3日の日程で金正淑夫人とともに訪米した。会談は、合計2時間の予定であった。しかし、韓国メディアは当初から、首脳の単独会談に夫人が同席するのは、米国が実質的な意味のある会談をする意思がないためではないかとの疑問を提起していた(朝鮮日報社説)。

文大統領政権は
制裁の実効性を挙げるのに協力的か?

 米国は、北朝鮮に対する制裁の全面解除の見返りに、全面的な非核化をめざすビッグディールを意図している。

 これに対し、文大統領は会談において、北朝鮮が寧辺核施設の廃棄に加え、大量破棄兵器の凍結など非核化に向けたプラスの措置、いわゆる「寧辺プラスアルファ」に動くのを受け、米国が段階的に見返りを与えるという「グッド・イナフ・ディール」を提案したと言われている。

 北朝鮮を対話に引き出してきたのは国連制裁と、米国の軍事的圧力である。今は北朝鮮に対する制裁の効果が問われている。北朝鮮が石油の瀬取りや、サイバー攻撃で仮想通貨を不正に入手していることは公然の秘密である。韓国は、北朝鮮との瀬取りに関わっていたとみられる韓国船を停留させ、調査を進めていることを明らかにし、成果を強調した。

 しかし、この船が瀬取りに関わったのは約6ヵ月前だといわれていた。そもそも、この船の航海記録を見れば、北朝鮮との関わりを持っていたことことは明らかであり、韓国政府が6ヵ月も調査に必要だったとは考えられない。

 韓国は瀬取りの取り締まりを忠実に行っていることを示したわけだが、これは行き当たりばったりの韓国政府の行動と見た方がいいだろう。

 米国は、北朝鮮の非核化の前の制裁緩和には消極的である。そこで文大統領は、あの手この手で制裁緩和を働きかけると同時に、とにかく今後の対話の段取りに道筋をつけ、自らが主導権を握ることを重視した。文政権の韓国にとっては、南北関係を進めることが国政の最大の課題であり、米朝関係が膠着状態に陥っている状況を何とか打開する必要があった。