この「めんどくさ脳」の改善するための対策が、「お試し5分法」です。これは、先送りしたくなったとき、試しに5分間に限定して取り組むという方法です。たとえば、やる気が出なくてずっと先延ばしにしてきた仕事なのに、いざ始めてみると、だんだん興味がわいてきて、気がついたら2時間くらい没頭していたなんて経験はありませんか?これは、脳の中で「作業興奮」と呼ばれる特別な脳のしくみが効果を発揮してくれたからなのです。5分間作業していると、脳内のやる気の中枢である側坐核が興奮状態になり、その結果、やる気が後から高まってきます。これが作業興奮と呼ばれる現象なのです。

 もちろん、5分やっても、やる気が出ないときはあります。この場合は、作業興奮の力をもってしても、やる気は出せなかったということですから、きっぱりと作業を打ち切ってください。そこを無理して続けるクセをつけてしまうと、「お試し5分法」自体をやらなくなってしまうので要注意です。

何事もきちんとしないと気が済まない「キチキチ脳」

「企画書をしっかりしたものにしようとしたら、締め切りに間に合わなくなった…」「もらったメールに丁寧に返信をしようとしたら、返信が遅くなった…」このように、完璧にしようと思ったことが仇になり、期限に間に合わなくなってしまうというのも、仕事や日常生活の現場ではよく見られる現象です。こうしたケースでは、仕事そのものより、特に対人関係が関わってくると完璧を目指したい傾向が高まります。

 通常、幼少期に、子ども同士でケンカしたり仲良くなったりを繰り返すことで、脳は対人関係を柔軟に処理できるようになっていきます。ところが、今はゲーム、スマホの普及によって、対面で遊ぶ経験が少なくなったり、高層マンションなどの人工的な空間で育ち、感覚がデリケートで過敏に反応してしまう脳になる人が増加しています。そういった変化から、最近では傷つきやすい人が社会にあふれてるのです。

 つまり、「キチキチ脳」の根本的な原因は、対人関係が未熟かつ過敏になっていることです。そのため、企画書を出す場合も、細かいところまでとことん突き詰めないと気が済まず、大雑把なものでもいいから期限内に出したほうがいいとわかっていても、先延ばしにしてしまう。そして、結局は締切を守れず上司に怒られてへこみ、それがまた恐怖感情となって、ますます大雑把に自分の行動をデザインできない…そんなネガティブなサイクルを何度も繰り返すことになってしまうのです。