仏パリのノートルダム大聖堂などの歴史的建造物は、とりわけ修復作業中に火災の脅威にさらされており、専門家は火災のリスクを低減できても完全に排除することはできないと指摘している。「非常に重要な文化財を担当している者なら誰でも、ノートルダムのような火災を防ぐにはどうすればいいか、思いを巡らせるだろう」。こう指摘するのは、教会の保存に取り組む慈善団体、チャーチズ・コンサベーション・トラスト(ロンドン)のピーター・エアーズ最高経営責任者(CEO)だ。エアーズ氏は「早期に指針や手順、慣例などの見直しが活発になるだろう」としつつも「特効薬はなく、リスクは常に存在する」と話す。同氏によると、英国でも中世から残る二つの重要建造物で火災が発生した。ヨーク大聖堂は1984年、屋根への落雷が原因とみられる火災が発生。1992年にはウィンザー城が、カーテンに照射された照明から引火し、大火災に見舞われた。火は15時間燃え続け、城全体の2割に当たる100室以上が損傷または焼失。修復に5年を要した。