大阪W選で生活保護への「北風政策」は変わるか?1票の重さを考えるW選挙で、大阪の民意は引き続き維新の会を選んだ。しかし大阪市は、生活保護において「北風」とも言える政策を行っている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

大阪府・大阪市の維新圧勝は
全国の生活保護をどう変えるか

 2019年の統一地方選は、4月21日の投票で最終幕を迎えようとしている。

 前半戦の“目玉“の1つであった大阪府知事・大阪市長のダブル首長選の結果、日本維新の会に所属する吉村洋文氏が新知事、松井一郎氏が新市長となった。しかし、大阪府下や大阪市内を少し歩けば、必ずしも利益を受ける人々が「維新」を支持しているわけではないことに気づくだろう。

「維新」のポスターが貼られているのは、すでに廃業した町工場や、「シャッター商店街」のシャッターが下りたままの一角や、年金生活の高齢者が住む老朽家屋であることが多い。大阪市民からは、しがらみの破壊や閉塞の打開への期待から「やはり維新」という声も多い。

 まずは、大阪府民と大阪市民の選択を尊重したい。とはいえ、大阪府と大阪市は、生活保護に関して非常に大きな影響力を持っている。特に大阪市は、独自の制度運用を行っており、厚労省から度重なる指摘を受けても“ブレない”。

 時には、「ウチをモデルに法や制度が変わるべき」という含意さえ感じられる。2012年から大阪市が開催している「生活保護適正化対策会議」の活動内容には、国への政策提言も含まれている。「その地域の民意だから、仕方ない」とは言えない。

 私見では、ケースワーカーの配置が現在の大阪市の生活保護を最も象徴している。ケースワーカーの受け持ち世帯数は、社会福祉法によって、都市部では「1人あたり80世帯」が標準とされる。現職のケースワーカーからは、しばしば「80世帯でも多すぎる」という声が聞かれる上に、「80世帯」が守られている自治体は多くない。