桑津 それを議論してもしかたがないんです。デジタル革命が起こっているのだから、シェアリングはこの革命を機にOKにするということにしなくてはなりません。都市のインフラもこれまで以上にフレキシブルになるでしょう。

 スマートシティーでは、ゴミ回収のルールも変わるはずです。ゴミ箱にセンサーをつけて、満杯であれば回収、空きがあれば満杯になるまで回収しないようにすれば、劇的にコストが下がり、労働生産性が上がります。

 フランスではすでにこれが普通のようですが、日本ではゴミ集積所はつねにきれいであってほしい気持ちがあるでしょうし、技術的には可能でも、なかなか概念的な理由からそうはならず、ゴミ回収車は決まったルートをまわっています。日本の美意識みたいなものと合理的なものにどう折り合いをつけるのか、ルールをどうするかという意思決定の問題でもあります。

秋山 人手不足と技術発展を前提に、どのように社会を設計するかですね。

桑津 キャッシュレス問題にしても、日本はすばらしいシステムを持っているがゆえに無駄が多い面もあります。日本は紙幣の印刷技術が高く、きれいなお札が流通していて、お金の信頼性が高く、ATM網も完備されています。街頭のATMを壊してお金を盗む人もいません。しかしそれゆえ、現金主義から離れられない。しかもその現金主義を支えるシステムの維持費として、われわれの税金が使われており、高コスト体制ともいえます。

 中国では、お金の信頼性が低いことや、街頭にATMを置いておくと盗難に遭うため、電子マネーが流通しやすかった背景があります。日本のほうが信頼性や安全性が高く、便利に現金が使える社会であったがために、キャッシュレス化は遅れ、中国は現金を流通させる危険を排し、キャッシュレス化に成功したのです。

 これまでアジアでは、「雁行モデル」といって、日本、韓国、台湾、中国の順に時間差で新たな技術やビジネスが普及していく考え方がありました。しかし、現在、デジタル化の観点では、中国が先行し、韓国、台湾が続き、一歩遅れて日本が後を追う構図で、雁の群れの先頭を飛んでいたつもりが、いつの間にか後方に下がって必死について行くような状態になってしまっています。日本人は、そういう危機意識をもっと持つべきではないでしょうか。(続編は5月6日(月)公開予定です)

(取材・構成/ライター 奥田由意)