航海の途中で船腹に小さな穴が開き、海水が入って来た時に、「浸水し始めたから、早く船から脱出しなければ」と考えるか、それとも「まだ小さな穴だから、みんなで協力すればふさぐこともできる」と考えるか。そんな「意識」の違いは、その後の対応や行動にも現れてくる。穴をふさぐ「スキル」を持っていたとしても、それを活用する「マインド」がなければ持っていないのと同じことになる。

 組織を運営していく上で、「マインド」は状況を大きく左右する。つまり、「スキル」偏重の組織は、実行する段階でつまずく危険性をはらんでいるのだ。

「マインドの高い人」の定義で陥りやすい誤解

 では、「マインドの高い人」とは、具体的にどのような人のことだろう。

 一言で表現するのは、とても難しいかもしれない。多くの経営者やリーダーは、人材の「マインド」の部分をロイヤリティーやカルチャーフィットで判断しているように思う。確かにどちらも組織への貢献度は高い気がする。しかし、どこか組織に対して従属的あるいは受け身な印象を受けてしまうのは私だけだろうか。

「組織のために」という気持ちや、「組織文化が自分と合っている」ことは重要な要素の1つではあるが、組織に対する依存度が高くなるほど、「言われたことを忠実に行う」ことに神経が集中したり、「規模が大きくなってきてカルチャーが変わってしまった」と感じてしまったりと、受動的で主体性を発揮することが少なくなる。この状態では個の成長が阻害されてしまう恐れがある。

 前述の通り、組織は個人の集合体であるから、一人ひとりの力が育たないと組織の力を伸ばしていくことは難しい。そればかりか、組織が大きくなる節目で足踏みし、イノベーションを生み出せないジレンマに陥ってしまう可能性がある。

 私は、個々の「マインド」の捉え方に、組織強化の本質的な課題があると思っている。では、「マインドとは何なのか」については、次回以降の連載で詳しく触れていきたい。