企業の広報やPRに携わる人にとって、今の時代に必ず考えておかなければならないのは「炎上リスク」だろう。公式アカウントの不用意な一言が炎上を招くこともあるし、良かれと思ってつくった広告が華々しく燃えることもある。炎上“させる”側から見えづらいのは、炎上中にその企業の中でどのようなやり取りが行われているかである。炎上を経験した“中の人”に、そのときを聞いた。(取材・文/フリーライター 鎌田和歌)
早いもので、2019年も3分の1が終わってしまった。今年は年始早々、西武そごうの広告や『週刊SPA!』など大きな炎上案件が相次いだが、その後はやや落ち着いている雰囲気がある。とはいえ、「もういい加減、炎上するような案件は出ないだろう」と思った頃に起こるのが炎上。企業の広報やPRに携わる人にとっては下手するとGW返上の騒ぎになるかもしれず、炎上リスクの芽に細心の注意を支払っている企業も多いはずだ。
正直なところ、炎上が勃発するとき、怒りを感じている人に共感することもある一方で、炎上している側の企業に同情を覚えることもある。
多くの場合、「脇が甘い」に違いないのだが、大抵の企業であれば広告やPRが誰かの一存で行われることはない。チームワークにおける意思決定の中で次第にツツツーと意図が横にずれ、誰も考えてなかったような表現が出来上がってしまうこともあるのではないか。いやもちろん、それはそれで無能であるのだが、“中の人”はそういった事情をすべて明らかにすることもできず、モヤモヤとしているのではないか。
そうであるならば、匿名で聞いてみたい。炎上を経験した企業の人の赤裸々トークを。
コラムに勝手に手を入れられて炎上
呆気にとられた担当者の一言
制作会社に勤めるAさん(20代)が炎上を経験したのは数年前。まだ仕事に慣れていない時期のことだった。