10日の米株式市場は、ドナルド・トランプ大統領が今回の米中貿易交渉について「建設的だった」と述べたことを受け、安定を取り戻した。建設的というのは、両経済大国が交渉継続で合意したという面についてであり、合意が近いということではない。両国がそれぞれ報復関税を段階的に引き上げるなか、そこから波及する経済的打撃に備える必要がある。トランプ大統領は10日、2000億ドル(約22兆円)相当の中国産品に対する追加関税の警告を実行に移した。中国は何らかの措置で対抗するとしており、米国産品への追加関税の形を取る公算が大きいとみられる。その規模は両国間の隔たりの大きさを示唆するシグナルとなる。危険なのは、トランプ氏が再び報復せざるを得ないと判断し、さらに3250億ドル相当の中国産品に追加関税を課すことだ。こうして報復合戦が繰り返される。