近頃の米国における最大かつ最強の兵器は、ミサイルでも戦車でも、戦闘機でもない。それは強大な経済力だ。だが、この「兵器」が使われ過ぎているのではないかという疑問も持ち上がっている。過剰な使用は、兵器を強化する原動力となった経済力そのものを損なうリスクになっているのではないだろうか?言うまでもなく、トランプ政権は米国の経済力を惜しみなく誇示している。しかも多くの場合、その手法は非常に効果的だ。米政権は中国やメキシコ、カナダ、欧州の貿易慣行に対する不満から関税を発動し、政策を転換しない限り収益性の高い米市場に食い込むのを困難にさせた。関税の効果が上がらなければ、追加関税で締め付けを強めている。トランプ政権はイランの行動あるいは体制すら変えさせたい一心で、石油セクターや金属業界、軍部指導者に狙いを定めた制裁措置に踏み込み、米主導の金融システムから排除した。これに不満げな同盟国を従わせるため、イランとのビジネスを継続すれば同盟国の企業であっても閉め出すと圧力をかけている。