IoTハードウエアを開発するShiftallの岩佐琢磨代表取締役CEOは、「GROOVE Xはハードウエアの売り切りではなく、月額利用料というサブスクリプション(定額制)モデルが収益の柱といえます。また、WHILLの自動運転システムはそれまでのBtoCビジネスをBtoBに広げたことを意味します。2社の事例は、そうしたプランがなければ、ものづくりベンチャーの大型調達は難しいことを象徴しています」と指摘する。
もともと、ソフトウエアに比べ、ハードウエアは、開発コストが大きく、開発期間も長いため短期で結果を出しづらいという構造的弱点を持つ。加えて、日本独特の事情に「技術者を大企業が独占しているため、人材の流動性がない。また、投資家もソフトウエア出身者が多いため、ハードウエアの価値を十分に判断できないことがある」と、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの北洋祐副主任研究員。
GROOVE Xの林氏は「ベンチャーはイノベーションを担い、大企業がそれを支える代わりに果実を得るという役割分担が必要。人材交流も活発に行うべきだ」と訴える。大手メーカーの没落が叫ばれて久しい。ものづくり大国、日本の復活にはベンチャーの盛り上がりが不可欠だ。