その森ビルは、虎ノ門と六本木の間に位置する麻布台でも大規模な再開発を進行中だ。
実際に歩いてみると、すでに道路の両側に白い工事用パネルが立ち並ぶ。地権者が300人ほどおり、「実現までに30年かかった、大変思い入れが強いプロジェクトです」と森ビル営業本部の竹田真二課長は回顧する。
一方、森ビルから分離独立した森トラストは近年、地方のリゾートホテル開発の先駆的存在だが、本業はオフィスビルだ。その同社が満を持して打ち出したのが「東京ワールドゲート」だ。商業施設などの複合施設「神谷町トラストタワー」のオフィス部分は、ワンフロア約1200坪と超大型。ここにはかつて「虎ノ門パストラルホテル」があり、「ここにこぎ着けるまで10年を要した」と、同社の浅野一雄取締役は述懐する。
このように、虎ノ門エリアで競合する両社だが、「長期プラン」の森ビルと「中期プラン」の森トラストでは互いに戦略が異なる。
さらに渋谷エリアでも、東京急行電鉄、東急不動産の東急グループが、渋谷駅周辺で再開発をけん引中だ。12年竣工の「渋谷ヒカリエ」以来、「渋谷スクランブルスクエア」の他に、「渋谷ソラスタ」や「渋谷フクラス」など、新築がめじろ押しとなっている。