また、自宅やカフェなどで仕事をできる時間を増やし、分散したオフィスの面積を減らして集約化すれば、オペレーションコストを削減できる。加えて人手不足の昨今、自由な働き方を求める人材を集めやすいのも大きなメリットだ。

 今や、インターネットの発達やノートパソコン、スマートフォンの進化、コンセント付きカフェの増加などで、オフィスの外でもいつでも仕事ができるようになった。一方でオフィスの中でも、固定席を設けずに作業を進められる環境をつくれる。企業側も「フリーアドレス」というかたちで、移転のタイミングでオフィスを一新するケースが増えてきた。

 上の写真のように、オフィス家具のデザインも昔と今とでは大きく変わっている。昔は高度経済成長のさなか、とにかく集中力を高めて作業効率をアップさせるのが最優先され、材質はスチール、色は寒色系のグレーやブルーなどが好まれた。空間はパーティションで仕切られ、個々人が作業に集中する空間がつくられた。

 一方で今のオフィスは、何といっても優秀な人材の確保が最優先。社員のストレスを軽減して健康を保つ「健康経営」を目指し、見た目もおしゃれにするため、カフェなどでよく使われるような木質、暖色系などが主流だ。

 パーティションも最小限にとどめ、異なる部署間でも立ち話でコミュニケーションが取れるオープンスペースが創出されている。

 こうした働き方改革のトレンドの後押しを受けて業績を伸ばしているのが、オフィス家具業界だ。

文房具のコクヨ 商環境のオカムラ
各社で異なる強み

 下図の通り、オフィス家具業界では、コクヨ、オカムラ、内田洋行、イトーキの4大企業がしのぎを削っている。オフィスで働く人なら、各社の製品を使った経験がある人も多いだろう。