働き方に合わせてオフィスのレイアウトや製品も変化している(写真はオカムラのニューオータニ・ショールーム)。Photo by K.O.

 次にオカムラは、1945年に航空機製造の技術者を中心に神奈川県横浜市で岡村製作所として創業。51年にスチールデスクと椅子の生産を始め、74年に東京・紀尾井町のニューオータニにショールームを開設した。オフィス家具では椅子の開発が先駆的で、02年から「コンテッサ」シリーズとして展開。最近では、テレワークのトレンドを受けて、「テレキューブ」という防音型のスマート電話ボックスをブイキューブと共同開発し、18年12月に販売を開始した。

 同社の強みは、オフィス環境に加え、ドラッグストアなどの商環境(店舗設計)事業と物流機器事業だ。人手不足などから自動化、省力化が進むこれらの分野で、同社の技術が生かされている。

 同社の売上高は13年の1948億円から18年には2417億円まで増加。営業利益も2倍近くになった。大型オフィスの移転も手掛け、「移転情報をいかに他社より早くつかむかが重要」(同社専務取締役の土志田貞一氏)だという。

ITに強い内田洋行
新オフィスに多額の投資をしたイトーキ

 3番手は、内田洋行だ。1910年に中国の大連で創業。「洋行」は中国語で「外国人の店」という意味を持ち、同時に当時は人が未知の領域に挑む気概もイメージされる言葉だったという。

 戦後の62年、国内初の超小型電子計算機の開発に取り組むなど、オフィスコンピューターの普及に乗り出す。翌63年からスチールデスクの製造を開始。89年には企業内研究所「知的生産性研究所」を設置し、働き方に関する調査・研究を他社に先駆けて行い、95年からはITビジネスに進出した。

 そんな同社の強みは情報関連事業だ。パソコンのソフトウエア更新や学校教育関連のICT環境整備で高いシェアを持つ。またオフィス関連では、会議室予約・運用システムの「スマートルームズ」を開発。「会議室は予約だけされ、実際には使わない空予約もあり、かなり無駄が多い」(同社執行役員の平山信彦知的生産性研究所所長)。そこで利用状況をクラウドで管理し、会議室の空予約を回避して稼働率を上げるシステムをつくった。現在は約300社、9000室に導入されているという。

 同社の売上高は13年の1281億円から18年には1514億円となり、営業利益は3倍以上に伸びている。

 最後のイトーキは、1890年に伊藤喜商店として創業され、大手4社の中では最も歴史が古い。

 1908年に、手提げ金庫や簡単な文房具など事務関連機器の生産を開始。34年から初期のスチールデスク、鋼製丸椅子などの取り扱いを始めた。75年に「オフィスプランセンター」を開設。長い歴史の中で、医療施設や教育研究機関、図書施設、金融機関、物流設備など幅広い分野を対象にオフィス家具を導入してきた。

 そんな同社の売上高は13年の1034億円から18年には1187億円となったが、営業利益は41億円から19億円に減った。その理由は、日本橋高島屋三井ビルディングに移転した「XORK」という新本社オフィスへの投資だ。「2桁億円掛かった」(同社営業戦略統括部長の筧田昭文氏)という同社肝いりのXORKは、WORKの次を意味し(W→X)、新たなオフィス空間を提案する場でもある。

 空間自体はABWの考えに基づき最近主流のフロアの造りだが、ワーカーの活動を【1人】「高集中」、【2人】「対話」、【3人】「アイデア出し」、【その他】「リチャージ」など10の振る舞いに分類し、あえてスペースごとに役割を付与した。「単なるフリースペースとは違う、次世代型のオフィスです」と筧田氏は胸を張る。

 このように、オフィスビル大開発時代にあって各社とも売上高を着実に伸ばしている。そのため、下図のように、リーマンショックで落ち込んでいたオフィス家具市場全体が再び盛り上がっている。