
バブル時代を経て、90年代初期までにワープロやパソコンが普及する中、業務に合わせてレイアウトも多様化していった。パソコンが1人1台になり、個々人の机をパーティションで仕切るようになる。一方で、家具はインテリア色が強まり、寒色系から明るいアイボリー系が出てくるなど、暖色系に向かう萌芽もこのころだ。
だが、バブル崩壊によりオフィスコストの削減にかじが切られた。同時に就職氷河期を迎える。成長だけを目指していた働き方が、根本的に見直されるようになったのがこのころだ。92年には育児休業法(後に育児介護休業法)が施行され、子育てや介護をしながら働く道が開かれる。2000年代初期にはITバブルを迎えて、インターネットの発達でモバイルワークが本格化。それに伴い、レイアウトもフリーアドレスのほか、文化、言語、国籍、年齢、性別、障害の有無や能力差などを問わず利用できることを目指した「ユニバーサルデザイン」などが登場した。
03年には健康増進法が施行され、仕事と生活の調和を意味する「ワークライフバランス」という考え方が出てくるなど、社員の幸せに目が向けられるようになる。一方で「ブラック企業」という用語に象徴されるように、日本企業の闇の部分も浮き彫りになっていった。14年には過労死等防止対策推進法が施行され、各社が健康経営に乗り出す。こうした中、2000年代以降、オフィスは単なるコストから経営資源と見なされるようになり、最近ではデザイン性の高さをPRするようにもなってきた。
そして今年4月、いよいよ働き方改革関連法が施行された。オフィスのトレンドは、さらに時代に合わせて変化していくだろう。