予想外の選挙結果ほど、メディアに登場する識者に前言の撤回を強いるものはない。オーストラリア総選挙での中道右派の与党・保守連合(自由党と国民党)の勝利は、多くの言葉の撤回をもたらした。数日前には、世論調査も賭け屋のオッズも野党労働党の勝利を示していた。ジャーナリストや識者は、一般国民が政府に望んでいることは気候変動への取り組みと富裕層への課税強化だと論じていた。スコット・モリソン首相(51)が勝利することなど考えられない、石炭産業寄りの福音派キリスト教徒であるモリソン氏は時代にふさわしい人物ではないと断じられていた。ところが18日の選挙では、6年間で2度の首相交代を余儀なくされた与党が議会での基盤を固める一方、野党労働党は東部クイーンズランド、タスマニア、ニューサウスウェールズ各州で複数の重要な接戦区を落とし、屈辱を味わった。今回の選挙結果は、オーストラリアの識者による史上最も劇的な判断ミスとして長く記憶されることになるだろう。どこかで聞いた話ではないだろうか。
【寄稿】豪総選挙、なぜ左派は負けたのか
予想外の結果は、ブレグジット国民投票やトランプ氏の勝利と似ている
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