米中貿易紛争は新たな冷戦に急速に近づいているとの懸念が投資家の間で高まっている。前線に立たされているのは高い株価をつけてきたハイテク企業だ。市場は貿易摩擦がハイテク企業に及ぼす影響にほとんど懸念を示していなかったが、わずか1カ月でパニックの様相を呈し始めた。エヌビディアやクアルコム、インテルといった半導体株はハイテクバブル後の高値から急落し、中国のサプライチェーン頼みの銘柄も下落した。背景にある要因は、直近の貿易交渉決裂どころか、米企業に対する華為技術(ファーウェイ)との取引禁止令(一部は一時的に解除された)という不意打ちよりもはるかに大きい。米中対立が長引けば関税の枠を超え、世界のハイテク業界を中国と米国の勢力圏に二分しかねないとの見方が高まっているのだ。