アップルはユーザー体験を非常に重視しています。このため、自社で「最高のユーザー体験」を実現すると考えられる機能をいったん開発し、ユーザーの評価を得てから他の開発会社へ機能を公開しています。徐々にアプリケーションでできることを増やしているのです。
このように、プラットフォームで成功するなら、自社または自社に近い企業とサービスを垂直につくってから、汎用化できる部分を探してプラットフォーム化を図るのがよいでしょう。サービスを垂直につくってからプラットフォーム化を図ると時間はかかりますが、遠回りに見えたとしてもそうすべきです。最初からプラットフォームをつくろうとしても、よいプラットフォームはできません。
プラットフォーマーに
共通する視点と日本企業の活路
プラットフォームは、それ単体ではサービスとして成立せず、あくまでも部品。主役はその上に構築された個々の事業です。ではその部品であるプラットフォームをサービス化して、ビジネスにできたのはなぜでしょうか。それは、プラットフォームの周辺にエコシステム(生態系)ができたからです。
アマゾンの場合でも、AWSにまつわる生態系ができました。プラットフォームとしてのAWSの階層の上に「AWSをより使いやすくするサービスを提供しよう」「AWSを使った開発をするための開発会社になろう」というパートナー企業が数多く現れたのです。AWSの上で事業展開をしようという企業の生態系をつくれたことが、アマゾンの強みになりました。