子どもの独創性を育む「キッチン学」「正解を求める勉強」のみに慣れてしまうと、AI時代を生き抜くのは厳しい。子どもの独創性や思考力、判断力、表現力などを幅広く培う「キッチン学」が注目を集めている

ここ数年、学校で増えているのが「アクティブ・ラーニング(AL)」。これは、先生による一方的な指導ではなく、生徒が主体になって行う体験学習である。グループでのディスカッションやワークなどを通して、生徒の思考力や判断力、表現力を育成していくのが目的である。このアクティブ・ラーングを料理に応用したサービスが、いま注目を集めている。

単なる料理教室ではない
独創性を育む内容が人気

「ハクシノレシピ」では、「キッチン学」と題して、子ども向け出張料理教室を開催している。管理栄養士や保育士、食育に関する資格を持つ講師が、「エプロン先生」という名称で、子どもの家庭を訪問して、一緒に料理を作っていく。といっても普通に調理するのではない。

 まず、子ども自身が冷蔵庫から食材を探し、どんな料理を作りたいかを子どもに考えてもらう。それを絵や文章で表現。調理して完成したら、オリジナルの名前をつけて、プレゼンテーションしてもらう。3歳から12歳までが対象だ。

 子ども向けの料理教室は珍しくないが、そこにALの手法を盛り込んで、子どもの創作力や表現力を養っていくのが、キッチン学の特徴だ。この事業を立ち上げたHacksii代表取締役の高橋未来さんに取材をした。

「一般の料理教室は、あらかじめレシピが決まっていますが、ハクシノレシピは文字通り、白紙の状態からスタートします。子どもさんが冷蔵庫を見て、そこにある食材だけで、自分でレシピを考え、手順も考えながら料理を作っていきます。出来上がった料理に作品名をつけて、考えたストーリーも話してもらいます。例えば、野菜サラダを作ったお子さんが『野菜カー二バル』と名付けたり、ユニークな名前が多いです。また、名前だけではなく、料理から発想したストーリーを話してもらうこともあります。これらのプロセスを通して、お子さんの思考力や判断力、表現力を養っています」