社会人向けのオンライン学習サイトは、まさに群雄割拠の戦国時代。とりわけここ数年で、これまでにない斬新な形式での“学び”サービスが続々と誕生している。

 例えば、以前小欄で紹介した「Best Teacher」(ベストティーチャー)は、あえて“非同期”“非対面方式”を採ることで、スキマ時間の有効活用を提案する英会話学習サービスであった。また「schoo WEB-campus」(スクー)のように、講義という形を通じて、ユーザー間での知的交流を促進させる“新しい学び体験”をもたらしてくれるサービスもある。

ShareWisレクチャーが島のように地図上に並ぶ「ShareWis」。現在、講師の募集を呼びかけており、今夏には一般ユーザーのレクチャー投稿も可能となる

 今回紹介する「ShareWis」(シェアウィズ)もその一つ。「知識の地図」というユニークなインターフェースで、ユーザーの学習を支援してくれるサービスだ。

「ShareWis」の特徴は、学習結果や講義一覧をソーシャルグラフのように“可視化”してくれることである。講義同士の繋がりをたどりながら学習することで、直感的に、かつ次へ次へと継続的に学ぶことができるのである。まるで世界を旅するように、知識の地図を広げていくことができる仕組みだ。

「外資系企業での実務経験から、小さな知識を皆で分かちあうことができれば、大きく世界を動かせるのではないかという実感を持ちました。ただし、小さな知識単体では活用の機会も小さい。それらを互いに繋げ合う仕組みが必要だと感じたことが、“知識の地図”に至ったきっかけです」(株式会社シェアウィズ代表 辻川友紀氏)

 現在(6/15)、提供されているのは「英語」「会計」「プログラミング」の三つ。Facebookアカウントかメールアドレスでの登録認証後にログインすると、画面にいくつかの島が表示される。マウスを使って自分が学びたい分野の島にズームしていくと、さらにいくつかの小さな島がつながっていることが分かる。「英語」の島であれば、「スピーキング」「リスニング」「文法」といった具合だ。

 学びたい分野を決めると、まずはスタート地点として最適なレクチャーが表示される。レクチャーは、動画やテキストでの学習と、4択問題で理解度をチェックする2部構成になっている。完了したレクチャーは色が変わっていくので、学習の進捗状況が一目で分かる。あとは地図上で繋がっているレクチャーへとどんどん進んでいけばいい。

 各レクチャーは、5分から30分。短い時間で完結しつつも、それらは有機的に繋がり合っている。「小さな努力が決してムダではなく、未来へつながっていくことを実感していただきたい」(同氏)という思いからだ。

「ShareWis」の「知識の地図」の新しさは、自分の学習過程(足跡)と、広大な“知の領域”とをひと目で俯瞰できる点にある。まるで未知の宝島を探検するかのようだ。こうしたワクワク感を抱かせる学習サイトはありそうでなかったといえる。

 今後は、スマートフォンやタブレット端末への対応はもちろん、ゲーミフィケーション要素やソーシャル要素の拡充を図る予定だ。また、マネタイズの方法としては「オフラインセミナーと連動した形での広告」「(無料コンテンツの拡充を前提とした)有料コンテンツの提供」「社内研修や塾などへのクローズド版システムの販売」を視野に入れているという。

 現時点ではレクチャー数の少なさは否めないものの「知識の地図」が拡大すれば、そこに“知の宝島”が出現することになる。「ShareWis」は、おっくうに感じがちな“学習”を“冒険”へと変えてくれる。「知識の地図」を頼りに、知の冒険へと旅立ってみてはいかがだろう。

(中島 駆/5時から作家塾(R)