欧米の外交筋は中国の「一帯一路」計画について、疑わしいプロジェクトを餌に途上国を略奪的条件の融資に誘い込む「債務のわな」だと考えている。だがこうした実例は中国政府の過ちだと理解する方が適切だ。そうした策略は中国経済のほか、世界に影響を及ぼそうとする同国の取り組みを台無しにするだろう。「債務のわな外交」が気にかかるのは当然だ。パキスタン、モルディブ、タジキスタンには、中国からの融資で膨らむ財政赤字以外にほとんど共通点がない。パキスタン政府は、今後20年間に中国政府に返済する金額が400億ドル(約4兆3400億円)に達すると見込んでいる。モルディブが中国から受けた融資は30億ドルと、国内総生産(GDP)の半分を上回る。世界開発センターによると、タジキスタンでは2007~16年の対外債務増加の80%を中国の融資が占めた。